建物の立退料はどのように計算するのか?

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土地の立退料との違い

土地の明け渡しの場面で,立退料の計算の基礎となるものに借地権価格というものがあります。
借地権というのは譲渡性があることから,借地権に経済的価値があることは社会通念上明らかといえるところであり,実際に借地権価格というものが計算される場面はよくあることです。

ところが,建物の場合,借家権については譲渡性に乏しく,そもそもその経済的価値があるのかという疑問から始まってしまうところがあります。

そのため,マンションの一室,アパートの一室などの明け渡しの場面での立退料の計算をどのようにすべきなのかが問題となるとです。

結論としては,この場合でもやはり借家権価格というものを計算して立退料の基準とすることが多いです。

基本的な考え方は,消滅する借家権価格から貸主側の正当事由を考慮してディスカウントするようなイメージですね。

借家権価格の計算方法(相場感)

では,借家権価格はどのように計算されるでしょうか?実は,借家権価格の計算方法は,実は明確なものはありません。
例えば,借家権割合を求めることでその割合により求められた価格をベースに種々の事情を加味する方法,当該建物と同程度の代替建物を賃借する際に必要とされる賃料と現在の賃料の差額に一定期間を掛けたものをベースとして算定する方法,当該建物の適正賃料と実際賃料の差額にその差額が持続する期間を掛けたものをベースとする方法,賃借建物から発生する収益を資本還元して求める方法などがあります。

この中で最も用いられる方法は,借家権割合を求めて借家権価格を導く方法であり,割合法と呼ばれます。

割合法の考え方は,損失補償基準や税務上の評価基準などにも取り入れられており,市街地再開発事業における借家権補償などにも取り入れられているものです。

一般的には,借家権の標準的割合は,敷地についてその借地権価格の20〜30%,建物について建物価格の30〜50%であることが多いようですが,やはり地域による差は大きくなるので,最終的には個別具体的に判断するほかないということになります。

それでもあえて語弊を恐れずデフォルメしていうのであれば,借家権割合は建物価格の30%前後か,敷地価格の20%前後を基準とすると見てよいでしょう。
ここから,賃貸人側の正当事由の充足具合を考慮して,計算することになります。

建物立退料(借家権価格部分)の具体的計算例

上記のような考え方を計算式にすると,次のようになります。
例えば,時価5000万円の土地の上の建物を賃借している場合に賃貸人から出て行って欲しいと言われ,賃貸人の正当事由の充足具合が60%程度だとします。

この場合,

5000万円(敷地価格)×20%(敷地に対する借家権割合)×(100%–60%)=400万円

400万円を基準として立退料を考慮することになるでしょう。

また,マンションの賃借のように敷地価格が算定できないようなケースでは建物価格を使うことになります。建物価格が4000万円で正当事由の充足具合が60%程度の場合,

4000万円(建物価格)×30%(建物に対する借家権割合)×(100%ー60%)=480万円

480万円を基準として立退料を算定することになるでしょう。

ただし,繰り返しになりますが,これはあくまでもかなりデフォルメした計算方法であることをしっかりと理解して欲しいと思います。また,立退料は,借家権価格だけでなく,移転費用であったり,事業者である場合には営業補償なども加味して算定されるものですので,上記計算にとどまらない補償が必要になるケースもままあります。
また,正当事由の充足具合を数値化するのは必ずしも容易でない点も注意したいところです。

結局は,個別具体的に判断するしかないのですが,立退料の話については,まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。


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