借地人が更新を望まない場合でも建物買取請求権は行使できるか?

建物買取請求権

建物買取請求権とは?

土地の賃貸借契約が期間満了で終了するとき,その土地上に建物がある場合には,賃借人(借地人)は,賃貸人に対してその建物を時価で買うことを請求することができます(借地借家法13条)。

これを建物買取請求権と言います。
本来,賃借人には原状回復義務があるので建物を取り壊して土地を返還すべき義務がありそうですが,そのようなことをするのは賃借人の経済的負担が大きいだけでなく,社会全体としても建物を壊してしまうという損失を被ることになるためです。

建物買取請求権は,かなり強力な権利です。
建物買取請求権が行使されることが想定されている典型的なケースは,期間満了時に貸主が更新を拒絶し,その更新拒絶に正当事由が認められるようなケースです。

賃借人から更新を拒む場合でも請求できる?

では,賃借人が土地の更新を望まない場合にはどうなるでしょうか。この場合には合意解約となるのが通常です。
この点について,旧法下の最高裁判例(昭和29年6月11日)は,このような場合には,合意の中に「建物買取請求に関する合意が存在しない限り,買取請求権を放棄したと理解すべき」という趣旨の判示がされています。
借地借家法の下でもこの法理が妥当するかというと,基本的には妥当するでしょう。

ただし,合意解約の場合でも建物買取請求権を認めるべきという見解も学説上は有力なようです。
個人的には,建物買取請求権の社会的意義や,条文の文言の素直な解釈などからすると,合意解約の場合で特段の定めがないのであれば建物買取請求権を認めても良いのではないかとも考えていますが,上記最高裁判例の「合意解約なのであれば普通は建物に関しても話し合っているはずだ」というのが常識的だという価値判断を打ち破れるかどうかというと,正直にいえば自信のないところです。
土地賃借人として建物買取を求めたいのであれば,基本的には,更新しないという合意の中で,建物買取を条件にしていく,その中で価格についても合意しておくというのが無難でしょう。


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